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インターンシップを始めよう!導入のポイントと企画の考え方をパフ/平原先生に質問!

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 富山県では、2025年7月に県内企業の採用人事に関するご担当者を対象とした「インターンシップセミナー」を開催。その後、企画から総括までを一貫してトータルサポートする「インターンシップ伴走型支援」を実施しました。

 今回は、両事業の講師を務めた「株式会社パフ」の専門役員・平原葉子さんに、インターンシップを始める際のポイントを改めてお伺いしました。企業の皆さん、そのポイントを参考にして、気軽に挑戦してみませんか。

【この記事でわかること】

①インターンシップを考える流れがわかる!

②学生の興味・関心を高めるポイントがわかる!

③インターンシップの運営で気をつけることがわかる!

―インターンシップのポイントに入る前に、新卒採用の市場傾向をお聞かせください。

 今、新卒採用は、非常に早期化しています。3年生になったら夏のインターンシップに参加して、その中で雰囲気が良かった会社の選考を聞きに行くという流れが主流になってきています。早期に活動する学生は約9割を占めてはいますが、プレエントリーや説明会、エントリーシートの提出などの就職活動量は低下傾向にあります。ただ、インターンシップだけは活発化しているため、企業の皆さんにとってはかなり重要な機会といえるでしょう。

―改めてになりますが、インターンシップってどのようなものですか?

 本来、インターンシップとは、就業体験ができる5日以上のものを指します。就業体験ができる半日以上のものは「仕事体験」と言い、就業体験がないものは「オープンカンパニー」と言いますが、ここではそれらすべてを「インターンシップ」としてお話しします。

―インターンシップを始める際の考え方を教えてください。

 学生にとっては、まだ業界や企業についてよく理解できていない時期です。そんな時に、自社の魅力や仕事内容を全部知ってもらうために言葉を尽くしても、なかなか伝わりません。インターンシップでは、まず「もっと知りたい」という気持ちを喚起し、「面白いことができそう」「すごい人たちがいそう」という思いも持ってもらえるようにすることが大切です。

 弊社が提唱するコミュニケーション設計の考え方においては、インターンシップでは興味喚起・共感形成をゴールに定め、その後にオンライン・リアルな説明会などで企業への理解深め、志望動機を高め、信頼関係を築いていくことをおすすめしています。

―学生の興味をそそり、共感を得るには、どうすればいいですか?

 すべての学生に対してではなく、特定の誰かに狙いを定めて伝えることが大切です。そうすることで、周辺の人の心も動かすことができます。その「特定の誰か」とは、採用したい人物。そういう人を念頭に置きながら、自社の特徴を踏まえて好きになってくれそうな人を、ターゲットにしましょう。そして、その人の視点に立って考え、何が心に響くのかを考えていきます。

 例えば、「オープンマインド」「営業志向」「就活が苦手」というAさんをターゲットに仮定したら、Aさんはどこの大学でどんなにサークル入っているのか、どんなインターンシップなら興味を持つのか、参加時にどんなインパクトを与えたいのかを考えていきましょう。

―ターゲットの他にも、企画を考える際のポイントはありますか?

 「自社の伝えたい魅力とは何か」を考えるのがおすすめです。自社に何ができるのか、どんな力があるのかを言語化していきます。その際、「How」ばかりを伝えるのは避けましょう。例えば、毛髪に悩む方向けのヘアサロンの方が、「利用者は年間何万人、リピート率何%、業界では何位」と事業の説明をしても、あまり面白くありません。しかも、他社と簡単に比較できるようになるため、より条件のいい会社に流れる可能性を生んでしまいます。

 反対に、なぜこの事業をしているのか、この事業の価値は何か、この事業をすることでお客様に与えたい喜びなど、「Why」を伝えれば、他社と容易に比較できないため、差別化を図ることができます。そして、その企業理念や哲学、価値観などに共感した学生さんには興味を持ってもらえます。

―ターゲットと自社の魅力を明確にできたら、次はどうすればいいですか?

 自社の伝えたい魅力を感じられる業務シーン、インターンシップのテーマ、参加後自社にどういう印象を持ってほしいか、学生は何を持ち帰れるのか、を順に考えていきましょう。それからプログラムを考えていきます。

―プログラムを作るときは、スライドから作ればいいですか?

 最初にスライドではなく、タイムテーブルから作ってください。個人ワークを5分、グループディスカッショを25分というふうに追加していけば、自動で計算できるタイムテーブルのフォーマットをお渡ししています。そして、大まかな内容や詳細な内容を書きながら、全体をタイムテーブルとして設計していきます。これが終わったら企画の7割が終了です。

 今回の伴走型支援では、1回目は実際にターゲットと伝えたい魅力、タイムテーブルを用意していただきました。2回目では、それらを見てディスカッションしながら、内容をブラッシュアップし、その後にスライドを作るという順番で進めさせていただきました。

―インターンシップの当日、参加者を前のめりにさせるポイントを教えてください。

 キーワードは、「90/20/8」。まず、人が理解力を保って集中できる時間は90分までです。90分に1回は休憩をとりましょう。次に、20分。企業の価値など大事なことは20分に1回繰り返すことで、記憶に定着させていきます。その次は、8分。一方的に話を聞く状態が8分続くと退屈を感じてきます。8分に1回は、隣の人との会話や問いかけなど、能動的なアクションを入れてください。

―その他にも前のめりにさせるポイントはありますか?

 EAT という、広く提唱されている研修の考え方です。まず経験(Experience)させる。そして気づき(Awareness)を与え、最後に理論(Theory)を教えていきます。仕事体験ワークによって、お客さんの状況を理解していないと提案できないことに彼らが気づき、そこで初めて企業のリアルな取り組みに納得感が生まれます。彼らが気づいた後に、自社の強みや伝えたいことなどを伝えていきましょう。

―仕事体験ワークを作る時に大事にしたらいいことは?

 学生は、ビジネスのリアルな状況をイメージできないため、漠然としたテーマを与えるのではなく、お客様が抱える課題など状況設定を細かく伝えることが大切です。例えば、答えを一から考える方法ではなく、3つの中から選ぶクイズ形式にすれば、前知識のない学生さんであっても、リアルに業務をイメージして大事なポイントを学びながらワークができます。このように、学生の考える幅を調整することで、難易度を調整することもできます。また、仕事体験ワークや現場配属、社員との交流などを2〜3時間のコンテンツとして掛け合わせていくと、オリジナルインターンシップを作ることができます。

―告知文を上手に書くコツは?

 学生は、告知文をよく見ています。作る際は、ぜひAI を活用してください。欲しい人材の人物像などを音声入力で伝えてから、「これをターゲットの学生から見た時に魅力的に映るような告知文章にしてください」と言えば、きれいにまとめてくれます。

―当日の運営について気をつけたらいいことを教えてください。

 安心して参加できる場づくりが、志望度を高めるために重要です。いきなり、みんなの前で発表することになると、戸惑いますよね。かといって、グループワークで急に意見を求められるのも苦手な人にとっては辛いものがあります。ですので、まずは個人ワークを 5 分とってから、次にグループワーク。個人ワークで考えた内容を小人数で話を共有するところからスタートする。最後に、2つのグループで簡単に共有するというふうに徐々に輪を広げていくと、議論の質も彼らの心理的安全性も高まります。

―多くの学生が知りたいことは何ですか?

 一つに絞りきれませんが、「社風」「雰囲気」を気にする学生が多い印象です。企業の雰囲気が合わないと辞退するという意見も多いですね。とはいえ、過剰に仲の良さをアピールする必要はありません。普段のコミュニケーションや雰囲気を見せることが大切です。なぜかというと、賑やかな動物園のような雰囲気が好きな人もいれば、静かな水族館が好きな人もいるからです。本当は温かい雰囲気の会社なのに、当日だけ堅苦しい雰囲気になるのだけは避けましょう。また、社員同士のコミュニケーションを見たい人も多いですね。例えば、ワークの時に現場の社員の方に複数ご登場いただいて、日々の体験談や仕事への情熱を語り合うというコンテンツもおすすめです。また、表情に気をつけて、目配せをしながら話すことも大切です。

―考えるだけでなく、実践することが大事なのですか?

 その通りです。完璧なプログラムでなくてもやってみることが大事です。たとえ、学生が全然集まらなかったり、盛り上がらなかったりしても、その実績がひとつの学びになります。トライアンドエラーを繰り返して考え方をブラッシュアップしながら、より良いプログラムに高めていくことが大切です。

 

【今回お話を聞いた人】

株式会社パフ(東京都)専門役員平原葉子さん。第4期生として入社し、2019年より専門役員に就任。新卒の採用・育成の課題のヒアリングから解決策の提案まで、コンサルティング営業として年間30社、延べ500社以上の支援を担当。